
九日ナインソールの感想。
ネタバレがあるので注意。
物語の構造上、ネタバレを知らずにストーリーを追ったほうが多分楽しい類いのゲームなのでご注意を。
めちゃくちゃ難しかったけれども面白いゲームだった。しかし難しかった……。シルクソングとかとは別種の難しさ。
タオパンクと呼ばれるらしい、道教をモチーフにしたメトロイドヴァニア。この雰囲気が全体的にすごくよかった。サイバーパンクとかの雰囲気もある。
■良かったところ
■ストーリー全般

主人公の羿(げい)がいきなり殺されかけているところから話がはじまる。この世界のヒト的なものは羿みたいに獣人的な見た目をしている。所謂我々みたいな毛が生えてない生き物は猿人と呼ばれていて、なんか長閑だけれどもディストピア感ある場所で暮らしていたりする。わりと冒頭から容赦なくえげつない描写があった。
この羿を操作していくのだけれども、プレイヤーは最初は羿の動機とか世界観とかがさっぱりわからない状態から始まる。登場人物が何やら話していてもよくわからなかったり。探索してメモみたいなものを見つけたり話を進めたりすると徐々にコトの真相が明らかになっていくスタイル。これが面白かった。メトロイドヴァニアにそんなにストーリー求めてないんだけれども、少し切なくて少し暴力的で、始まった瞬間からどうしようもない話は哀愁があってとっても良かった。
また、キャラクターもいい。主人公の羿兄さんは最初に想像していたよりもツンケンしていなくてユーモアがあったり酔っ払ってみたり、兄さん的な顔を見せてくれたりもする。恒(こう)という可愛い妹がいて、時折電話がかかってきたり過去の一片が見られたりするのだけれども、基本的にはずっと良いお兄ちゃんだった。
NPCも個性的ですきだったな。

神農(しんのう)と飲むイベント面白かった。度々あるのだけれども、イベント進める甲斐があるなあというほど緩んだ兄さんが見られる。


軒軒(けんけん)。物語の分岐にも関わる大切な子で、羿を兄と慕っている。羿も最初ぶっきらぼうに接したりしているのだけれども、段々彼本来の面倒見がよくて優しいところが出てきて本当によかった。軒軒が羿を慕う理由がわかるよ。

蚩尤(しゆう)も好きだな。この見た目で詩と絵を愛する文化人。兄がいて兄のことを時折口にする。

あと忘れちゃいけねえ夸伏(こほ)。羿の親友だった男で、再会してからは何かと協力してくれる。軒軒たち猿人のことを最初は忌避していたけれど、最終的には仲良くなっていてよかった。最初から最後までいいやつだったなあという印象。
あと算盤-如羿(さんばん じょけい)もいいキャラだった。なんかハッキングされて裏切ったりするかなあとか薄っすら思っていたのだがそんなことは全然なかった。ごめん。最後まで忠実で頼りになるやつだった。
山海9000(さんがい9000)はイベント取り逃しちゃったんだよな。ごめん。
これらのNPCのイベントを進めることによってエンディングが分岐する。わたしは走り回っていたのでエンディング分岐に関わるイベントは自然に進んで、真エンドで終わった。
■戦闘システムが面白い(そして親切)
前述した通りこのゲームめちゃくちゃ難しい。攻撃を避けるのではなくパリィするシステムで、そこがもうわたしには大変難しかった。タイミングよく弾くことができると無傷で敵の攻撃をいなせるのだが、タイミングがずれると内傷という状態になりじわじわ体力が削られる。なので上手く弾きたいのだが(上手く弾いたときの音もまた気持ちいい)ほんとうに大変だった。まじで難しかった。反射神経と音感(パリィが音ゲーに思える瞬間がある)に乏しいのでめちゃくちゃ苦労した。雑魚にも苦労した。苦労しないところはなかった。
でもこのパリィシステムが爽快でもあった。タイミングよく敵の攻撃をパンパンパーンと弾けた時とか超気持ちいい。めっちゃ最高って気分にさせてくれる。
しかし、ゲームがどれだけ下手くそでも全然心配しなくていい。このゲーム、難易度調整がある。ノーマルとストーリーモード。ストーリーモードにすると、自分の与えるダメージ(与ダメ)と受けるダメージ(被ダメ)を%で調整できる。要は自分だけ攻撃200%にして敵のダメージは極論0%にもできる。わたしははじめノーマルでやっていたのだが、二番目のボスにたどり着くまでに50回くらいリトライし辿り着いて全く勝てずにストーリーモードに変えた。だいたい与ダメ100%、被ダメ70〜60%くらいにすると苦戦し死にまくりながらも結構良い感じに遊べるのでそれでやっていた。どうしても駄目すぎて詰むってことはないのが親切設計でめちゃくちゃありがたい。
それと、山海9000にそれぞれのエリアにいる端末のチップを渡すと宝の数とか中ボスの数が1/1みたいに表示されるのだけれども、探索においてそれがとても便利だった。端末も個性豊かでここのエリアはこんな奴なのか……と端末たちを見つける楽しみもあった。
■世界観、背景がきれい
道教をモチーフにしたタオパンク……と前述したけれどメカっぽいサイバーパンクの雰囲気ももりもりある。メトロイドヴァニアで探索は色々できるけれど、エリアに分かれているので色んな雰囲気のところを駆け抜けるのが面白かった。景色も綺麗。


庭みたいなところも怪しい研究室みたいなところもあり。書き込みがきれいで楽しかった。あとセーフエリアみたいなところも好き。

最初は整っているのに……

軒軒たちとのイベントを進めていくと物が増えてすごく生活感にあふれた感じになっていく。それがわたしは皆がここで暮らしている感じがしてとても好きだった。
それとゲーム内の演出がすごくよい。

漫画みたいな演出があって、めっちゃかっこよかった〜〜!! シリアスなシーンもかっこよいシーンも良き。この演出大好きだった。
それと、名有りのボスと戦う時に名前がバーンって出るのがめちゃくちゃかっこいい。

ボスはみんな強くてえらいこっちゃだけど、演出でテンション上がるね。
■個人的にいまいちだったところ
■めっちゃフリーズした
これはわたしのSwitch(有機EL)のせいかもしれないので万人に出るものではないかもしれないことを最初におことわりしておきます。
めっちゃフリーズした。特に途中でゲーム機の電源ボタンを押し、スリープモードから戻ってきた時にフリーズしていることが多かった。別にオートセーブはこまめにしてくれるので倒したはずのボスが倒されてないとか致命的にこんちくしょうみたいな事態は全くなかったが、通勤中にちまちまやっているのでスリープモードにする機会が多く、復帰するときに無事に動くかな……と考えるのはわりとドキドキした。
ただまあインディーズゲームでもあるし、フリーズを検索してもあんまり出てこないのでわたしの環境が悪かったのかもしれない。そこらへんは詳しくないのでわからないけれど、わたしにはそれが困ったという話。
■ボス再戦時の演出を飛ばせるようにして欲しかった
ボス戦で演出がはいるのはいい。めっちゃかっこいい。しかしボスで死んで再戦しようとすると、演出の短縮版みたいなものが入る。ほんとに短いやつなんだけれどもこれは高難易度のゲームなので10も20も50も死んでいると何回も何回も何回も見せられる演出がすごいうざったい。どれだけ短かろうがうざったい。さっさと戦わせろと思ってしまう。
ボス部屋入ったら即ボス戦とかでよかった。または演出を丸々カットできる機能が欲しかった。
■マップが地味に使いづらい
地形反映マップだし重要そうなところ(話せるNPCなど)は印がつくしそんなに不満というほどでもなかったのだけれども、個人的にあとで取りに来ようみたいな印つけられる機能が欲しかった。あるのかな。見てないだけだったらすいません。
あとマップ、ざっくりな大マップと詳細な小マップがあるのだけれども切り替えがXボタンで地味にマップを切り替えようとして画面消しちゃったりしたことが頻繁にある。わたしが阿呆なのだがど〜〜〜うしても慣れなかった……。
■まとめ
とてもよくできている高難易度メトロイドヴァニアだった。シルクソングと比較されることが多いけれどタイプが全く違うなと思った。敵の攻撃への対応手段がシルクソングは回避だけどこっちはパリィなので全く別種の難しさ。個人的にパリィのほうが苦手だとわかったのはいい収穫だった。でも、高難易度だけれども高難易度ゲームが苦手な人への配慮があってとても勧めやすいゲームだなと思った。あの難易度調整を自分でできるの偉いとおもう。
ストーリーも良かったし、登場人物が段々好きになってくる。そのストーリーも誰が善誰が悪とかそういうわけではなく、みんな自分が大切にしているものは違って、それを守るために行動した結果だよなと思える悲哀があるものでわたしは好きだった。とても面白いゲームでした。
■各ボスの感想。
以外、各ボスの感想。みんなそれぞれ強かった……。あとエンディングについてもちょろっと。
■夸伏(こほ)

正確には夸伏が作ったケンタウロス型のロボ、英招(多分えいたん)。最初のボスなので行動パターンが明確でわかりやすく、戦いやすく、そして最初のボスのくせに火力が高くて容赦ない。まだ強化とか全然してないのでパンパン殺されまくり、ほんとうにこのゲームを終えられるのだろうか……? と心から心配になった。ここらへんまではノーマルで遊んでいたのだがあまりに死にすぎてまじで挫けるかと思った。
でも慣れてくるとパリィの練習させてくれるとても良いボス。こいつが捌けるようになってくるとこのゲームが面白くなってきて楽しかった。
■勾芒(こうぼう)

鳥足のセクシーお姉さん。二人のキョンシーをいなしつつ体力を削り切ると後ろから復活させに来るので来た時に叩くシステム。わたしは複数戦闘が死ぬほど苦手で、この人にたどり着く前のゴンドラみたいなもののうえで雑魚とバトルラッシュするみたいなやつで信じられないくらいに死んだ。ようやくクリアできたのはクリア判定ラインを超えた直後に死んだからである。偶然だった。
ともかく満身創痍で挑んでまあ複数戦闘で信じられないくらいにクリアができず、このボスからストーリーモードにして被ダメを抑える方向でいくことにした。90%くらいにしたらなんとか勝てた。
始終高飛車な態度だったけれど、過去とかキョンシーたちの反応を見ているとそう悪い人ではないなと思った。キョンシーたちに「ママ」と呼ばせているところとか物悲しさを感じる。そして最期がなかなかえげつない。頭脳を誇っていたであろう彼女に対する報復としては最悪の罰だろうな……。
■奄老(えんろう)

おじいちゃん。なんかUFOキャッチャーみたいな動きをするメカと戦う。この人はあんまり強くなく、被ダメ90%のままで四回くらいで勝てた。なのでそんなに印象もない。
おじいちゃんの印象としては小悪党って感じだったけど、伝統を重んじていたのは口先だけではなかったんだな〜と思った。
■截全(せつぜん)

ムキムキマッチョメン、そしてマゾの気があるのかというくらいに痛みを求め与えてくる人。英雄は痛みを乗り越えてこそみたいな独特の哲学があるらしい。
こいつからいきなりボスが強くなってきた。めちゃくちゃ強くて最初倒せないのではと疑った。アイテムで毒を手に入れていると、毒を盛るかどうか選択ができる。わたしは全然当たり前に毒を盛ったのだが、それでもめちゃくちゃボコボコにやられた。動きが速い速い速い。見てからじゃ間に合わねえ勘で避けろというのか……? みたいな感じでこっぴどくボコボコにされた。あまりに勝てず、被ダメを80%に下げてようやく倒した。これストーリーモードがなかったら、わたしのゲームスキルでは多分クリアが無理だった気がする。どうかな〜。
■蚨蝶(ふちょう)

地獄。
たおやかで優しげな雰囲気で、この人とは戦わなくても済むんじゃないか……と思わせてからの最凶のボス。ラスボス除けばこの人が圧倒的最凶だった。ボスの行動パターンに劇的な変化があるわけではないが増えたり速くなったりでまあやばい。しかも強いくせに3段階目まである。長い。
もし戴全をノーマルで倒せてもこの人で挫けていたと思うくらいに強い。この人はこの人と戦うことになるまでのステージもえらい凶悪で大変だったのでもう凶悪だったという印象ばかりがある。ほんとうに……大変でした……。この人で余裕で二週間くらい詰まり、苦肉の策としてじわじわと被ダメを下げて70%のところで何とかクリアした。ほんとストーリーモードがなかったら以下略。
この人自体は頭が良くて穏やかなみんなのお姉さんみたいな感じだった。仲間をえらいこっちゃにしてしまった上に、偉い人に逆らえもしなかったの、この人の優しさや繊細さでは耐えきれなかったのだろうなあ……というのがよくわかる。その意味でもこの人は全体的に地獄だった。
■風氏(伏羲 & 女媧)

ふうし、ふしぎ&じょか でいいのかな。兄妹の二人組。複数戦闘というわけではなく、兄さんと戦っているところに妹がちょっかい出してくる感じ。被ダメ90%に戻して一段階目はさほど苦労せずに越えたのだが二段階目が限りなくうざかった。画面を埋め尽くす蛇に何回被弾して死んだかわからん。このゲーム、地上に居るときは攻撃と受ける向きを合わせないとパリィができない。でも空中ならば向きに関係なくパリィできる。そんなんでついついジャンプして弾きたくなるのだけれども、無量弾きという溜め弾きは空中で溜めができない。空中で被弾して死がめちゃくちゃ多かった。
この二人は兄を心から慕っている妹の話だったなと思った。兄はもう心ないものなのであんまり自我がない。生前は穏やかでわがままな妹を可愛がるような人だったんだろうか。それとも役者だったとかいうしイケイケだったんだろうか。わからないけれど、妹が最期まで兄を慕って一緒に黄泉路にいったのは良かったのかどうなのか。パワーアップアイテムみたいなものも双子のようにくっついている。ちょっと奇妙で悲哀がある二人だった。
■姫(き)

意味深に序盤から現れ、別に戦わなくてもいいじゃない……と思うわたしの心を置き去りにしていった少年……? 少女……?
ルーレットを弾くことによって異なる効果を出してくる。攻撃もあるけど回復もある。わりと目押しが簡単なので全然苦労しなかった。めちゃくちゃ構えていったのに拍子抜けか? というほど三回目くらいであっさり勝てた。自分が上手くなったかと錯覚するほどであった。
多分みんなより長く生きてるのか知らんけどすごい達観したものの見方をする。別に戦わなくても……って思ったけど彼(彼女?)自身が、親しかったであろう人にみんな置いていかれて死にたかったのかもしれない。そう考えると羿にもちょっと似ている。
■易公(えきこう)

ハイパー強いおばあちゃん。冒頭で羿を殺した人であり羿の師匠であり軒軒たちを利用していた組織のボスであり、蓬莱人のことを考えていた人でもある。非情な人に見えたけど信念のためにひたすら突き進んでいただけでめっちゃ非情というわけでもないよなということがなんとなく見えてくると人間味が増してよかった。
しかし強い。ハイパーつよい。速いし怒涛の攻撃を繰り出してくるしこっちは何もせずに無残にやられる。速いんだよ〜〜!!! 全く攻撃が見切れないままで死にまくり、被ダメを70%くらいに下げてようやく練習できるようになった。わたしは反射神経が乏しいしゲームスキルが、ない!!!!
しかし人間は慣れる生き物なので、死にながらもやっていると段々慣れてくる。怒涛の攻撃を捌き切ると超気持ちいい。音ゲーみたいにパパパンと決まる。すごいや。そして二段階目に溜め弾き失敗して何回もまた殺される。わたしは溜め弾きがほんとうにほんとうに苦手です。一段階目の攻撃に新たな攻撃が加わってくるかたちなのだが、それも慣れるとすごく気持ちよく弾ける瞬間がある。すごすぎる。難しくてまじ最悪なのに気持ちいい瞬間があるの。そしてこの人はラスボスなのでしっかり第三段階目もある。わかっちゃいたけどうお〜〜〜〜ってなった。
しかし人間は慣れる生き物なので、数週間毎日せこせこ戦っていると結構いけるようになるもんなのである。あの爆発する溜め弾きと火柱が立つ溜め弾きの違いがいまいちわからずに大変苦労したけれど、最後はギリギリでまあなんとかなった。辛勝でも勝ちは勝ち。
易公の悪あがきでえらいこっちゃになり、羿は軒軒との約束は果たせずに散ることになった。けれどもわたしはそれで良かったかなと思う。旅の終着点で、一番会いたかった人が待っていてくれて手を差し伸べてくれたから、その上で新しくできた弟みたいな軒軒や親友に未来を託せたから、多分羿は満足だっただろう。

羿のこの旅は、結局は恒に会いたかった旅だと思う。全ての命が還るように、ただ羿兄さんは恒に会いたかったのだとわたしは思った。
長い、ほんとうに長かった旅の果てに恒が待っていてくれてよかったね、兄さん。
わたしは真エンドしか自力で見ておらず、もう一方のエンドはどんな感じのエンディングかを人様の文字で読んだ。動画とか探してみてもいいかな。二周目はちょっと考える……二周目してもノーマルでクリアできるとは思えない。真エンドじゃないほうは羿のエゴって感じでそっちも哀愁ありますね。
ともかく終わり。面白かったな〜!