spiritfarer(スピリットファラー)、雰囲気がよさそうなゲームなので購入してみたらずーーーーっとやってしまう魔のゲームだった感想。
ゆるいネタバレがあるので注意。
あの世とこの世の境目。
そんな場所で、突然スピリットファラーという魂たちを導く役目を授けられたステラという少女。
舟を操り、海を渡りながら出会う魂(動物たちの見た目をしている)の願いをきいていく物語。
ただ、この世とあの世の境目ということは、お別れのときは本当の「お別れ」だということ。そうして出会う数だけ別れもあるということ。
どことなく陰鬱で寂しいけれど、決して悲しいだけではない世界を駆け巡りながら交流するゲーム、すごく楽しかった。
■良かったところ
■やれることがなかなか多い。
船の改修、料理、釣り、採掘、栽培……ひとつひとつの操作は単純でもなかなか作り込まれていてやることが多くて飽きなかった。
ちょっとやりはじめて気づいたら五時間くらい時間をもっていかれていたりしたのでわたしはほんとうにこういうゲームに弱い。
船であちこち情報を集めて新天地を見つけたりもできる。探索をすると主人公ができるアクションも増える。数はそんなに多くないけど十分。
船の改修が進むと行ける場所が増えていく。改修にそこまで過酷なことは要求されないので癒しとしてゆるゆるできるのも楽しい。あっちいって戻ってまた行って……。
ワープ機能もちゃんと欲しいところにあるので便利。
そこまで島が多いというわけではないし大概の島はストーリー進行で絶対に行くことになるので探索要素というわけではないけれど、特定のキャラクターがいるとちょっとした宝探しみたいなこともできて楽しい。
はじめはすごく小さい船で必要最低限のものしか載せられないのだけれども、改修を繰り返すと積み木を重ねたみたいな物凄く立派な船になる。
それがまたでかい。ぶっちゃけ移動大変なくらい。(移動用の設備もつけられるのでそこらへんをどうするかは自分のセンスに試されている……わたしはだめだった……)
どこに何の部屋を置いたりするかは自由にできるので、移動のしやすさを重視したり見た目を重視したり色々やってみると楽しい。
積み木みたいでかわいいし、部屋の内装(これも依頼で作ってあげる)も細かく描かれていて住んでみたい! って感じで素敵なのが多いので眺めていても楽しかった。センスがいい。
動物たちのお願い事に自分専用の個室が欲しいというのがほぼ全員にあるので、そこらへんで部屋がどんどん増えていくのもまた楽しい。動物たちとお別れしたあとも一応使い道というかなければいけない理由もちゃんとある。
釣りもできるしわりと魚の種類が多い。魚によって作れる料理も違う。
料理も結構色々ある。わたしは料理探しにはまっていて色んな組み合わせを試した。グラフィックがかわいいので作りごたえもあった。動物たちにも好き嫌いがあるので色んなものを食べさせてみたり。
これら魚や料理、素材にはコレクション要素があって、集めるとご褒美も貰える。洋服の色を変えられたり。(デザインは変えられない)
■どうぶつの姿をした「魂」たちとの交流がいい。
話自体は突飛なものとかはなくて「普通」の日常の話が主なのだけれどもその「普通」の日常がどれだけ大変かということがしみじみとわかる話だった……。
みんなどこかしら陰があってどこかしら寂しそう。だからハグしたときに見せてくれる笑顔にはほっとした。
この、ハグというシステムがこのゲームを更によくしているとおもう。例外はいるけれど大概みんなハグすると微笑んでくれる。ハグしたいなあ……とプレイヤーに思わせてくれる仕掛けがちゃんとあってよかった。
お別れもハグで。このお別れのハグがまた泣けてしまう……。わんわん泣くとかそういうんじゃなくて、なんかほろっと泣いたのが何度もあった。
どうぶつたちの姿をした魂たちは元は人間で、依頼をこなして会話をしていくと色々なことがわかってくる。良い人もいるし(最初のお姉さんや芸術家の鳥さんと蛙のおじさん大好きだった)、最初はうわへんなひとと思っても後々好きになってしまうような人もいるし(おばあちゃん組、終わりがいつもおなじなのにちょっと引っ掛かったけど好きだったよ)、最初から最後まであんまり好きになれないムカつくやつもいるし(犬とハチドリお前だよ)
心底嫌いだけどなんとなく自分に似ている気もするので救われて欲しいなというやつもいるし
(多分全プレイヤーを苛つかせたであろうこいつ……この……この部屋にいるだけで許されざる)
なんだかみんながそれぞれ嫌なところもいいところもなんだこいつ? ってところもある人間らしくて、良くも悪くも感情が揺さぶられた。開発のひとの人間の解像度が高い。
ハチドリのあいつとかかなりお前……ってなったしハイエナのあいつのところはなるべく近寄りたくねえ〜〜〜〜!!! って頭抱えたし。ただハチドリのエピソードとか、お別れの時に真相を知るとああ、だからそうなったのかと納得が大きかった。
お別れしたくない良い人も、早くいっちまえって嫌な人もいるけれど。
でもいつもお別れはなんだか寂しいんだ。
いい塩梅だと思う。
そうして彼らと交流することによって、主人公であるステラがどんな人なのか、ステラは何故ここでこんな船渡しみたいなことをしているのか、ということもなんとなくぼんやりとわかってくる。
魂も、ステラ自身も。みんなの行き着く先は決して物凄く幸せで物凄くハッピーなばかりのものでは決してなくて、辛かったり悲しかったりうまくいかなかったりそういう感情だって抱えていくしかないけれど、でも確かに暖かくて優しい結末だなとわたしは感じた。
■絵がきれい
アニメ調のグラフィックと哀しくてちょっと切なくて優しい物語とがよく合っていた。喋らない系主人公のステラだけれども表情が豊か。わたしはわぁ!って感じの喜んでる顔と滑空してるときのが好きだった。
■ねこがついてくる
このゲームをしていて最大の感動。ねこが常に後ろをついて回ってくれるし木を切るときにぷらぷらしててくれるし釣りとかただ立ってたりとかすると玉にじゃれたりして遊んでいたりしていて動きがめちゃくちゃかわいい。さいこう。しかもねこを撫でたりできる。いつも一緒。ボートに乗るときは肩にぶら下がっている。
動きがねこっぽくて最高だった。もふもふのねこと一緒に船旅できるだけで価値があるゲーム。
■個人的にいまいちだった点
■細かいところが不便
・料理を作るとレシピが登録されるのだけれどもレシピから直接料理を作れない(複数パターンがあるので難しかったのかと思うのだが不便だった)
・島の名前一覧みたいなものがないので「○○へ行け」みたいな依頼のときにでかい地図でいちいち島にカーソル当てて探し回らなきゃいけないのがすごい不便だった。
・船の設備の改装のとき、船が大きくなるにつれてカーソル動かすのがくそめんどくさくなるので左とか右とかに部屋の名前一覧があればよかった。改装してる部屋としてない部屋、ぱっと見たときに違いがあまりないので探すのがとても面倒臭い。
・この世界のNPCは全員マント姿で色ちがいなだけなので「○○で××(という人)を探せ」みたいな依頼のときに誰!? どこ!? となって町中の人に話を聞くみたいなことがあった。目印のアイコンが欲しかった。
・折角コレクションがあるのだからコレクション眺められる機能が欲しかった。特定の島にいくとどれを集めたとかがわかるのだが手元でも確認機能が欲しかった。
・これはゲームの進め方にもよるとおもうので人によって違うとは思うのだけれども生産設備の改修終了がかなり終盤(というかわたしはほぼ改修終了してから)になってしまい、そうなると改修する意味がなくなるという。
特に合金つくるやつ。待ってから叩くというめんどくさい工程を何度もやるのだがせめて改修がもうちょい早く終われば……って思った。しかし改修してもできる合金の数が1→2に変わるだけでそこまで恩恵もないという。インゴット作るやつみたいに一気に作れたらよかったのになあと思った。その面倒臭さが手間としていいのかもしれないがそのせいでプレイ時間伸びた感もある。
・これはゲームの進め方にもよるとおもうので人によって(以下略)、わたしは船の設備改修完了やらがかなり終盤(船にグリフォンしかいない……)になったので他のキャラクターがいない状態でひたすら改修は寂しかった。
あと行けるところと行けないところがあるので食材の関係で作れない料理もあったりして、殆どのキャラクターとお別れしたあとに料理コンプとかしてもむなしい。別にリアクションは何も変わらないしゲームを進める上では何も困らないのだけれどもなんとなく心理的にあのキャラに食べさせたかったなあとか思った。
全体的にとても美しくてさびしい、良いゲームだった。
夢中でやってしまったし単純に航海して農業して料理作ってるだけでもわたしはかなり楽しかった。
ちょっと作業感もあるし基本的に魂たちはクセが強いので好き嫌いがあるとは思うけれど、個人的にはかなりおすすめのゲームです。なによりかわいいねこがついてくる。