一番つまらない話。

ゲームの感想書いたり見た夢を書いたり思ったことを書いてみたり。

12/4の夢

ものすごく大きい寝台特急で働きながら移動する夢を見た。
十代くらいの赤毛の人懐こいみそっかすの女の子の視点で、そこにたまにわたしの意識が混じる感じだった。
走っている電車はとても大きくて長くて、何日もかけて大陸を横断して日本っぽい国(仮にJ国)に戻るところだった。わたしまたは彼女は他国から母国のJ国に帰るところで、しかし切符代がないのでかわりに労働をしていた。
世界中が戦争中だったけれど、路線などは人類共通資産みたいな扱いになっており、電車とかには攻撃してはいけないと国際条例で決められていて、破ると他の国からも多大な報復が来るので電車の旅は平和で気楽なものだった。
働きながらとは言うけれど簡素なベッドと小さな机がある個室が与えられていて居心地は良かったし機関士のおじさんや掃除婦のおばさんおねえさんたち、働いているひとはみんなとても優しくしてくれた。
はじめは掃除をしたりお客さんとお話ししたり、石炭をくべさせてもらったり、あと石炭で機関車が走っているというレトロな世界のわりにスマホとかの機器はあったのでニュースを皆で見て戦争がどうなるのかねえとか喋ったりしていた。
けれども数日後に、他所の国(仮にG国)の電車と並走するようになってから更に楽しくなった。
なんかこの期間は並走しなければいけないみたいな決まりがあったようだった。
ただ電車内は戦争も国境も関係なかったので、はじめみんなはおっかなびっくりG国の人と窓越しに手を振っていたりしたけれど、やがてわたし、あるいは彼女と同じ歳くらいの女の子が窓越しにスマホを見せてくれてからちょっと関係が変わった。
画面には漫画のキャラクターが映っていた。言葉は通じなかったけれどその子がJ国の漫画がすごく好きで、画面に映っている漫画のキャラクターや題名を知りたがっていることがなんとなく察せられた。
わたしあるいは彼女はそのキャラクターを知っていたので教えてあげたいとおもった。
その頃には双方すっかり窓から手を振るにも飽きたので、電車のハッチをあけて簡易な橋を作り、そこから行き来ができるようにしてくれた。
わたしあるいは彼女とその少女は早速行き来をした。並んで貨物室の床に直で座りながらおしゃべりをした。悪戦苦闘しながらもなんとかタイトルを伝えられてほっとしたし、言葉が通じなくともなんとなくカタコトの言葉で交流するのは楽しかった。
電車の人達も気軽に行き来をし、言葉が通じないながらも一緒に酒を飲んだり歌ったり踊ったり楽しそうにしていた。

それが三日くらい続いて、やがて別れる時が来た。
分岐があって、わたしたちの電車は左に、相手の電車は右へと行ってしまう。わたしたちは別れを惜しんだ。別れたら敵国同士で、たぶんもう二度と会うことはない。
握手してハグをして互いの無事を祈った。簡易な橋がはずされ、ハッチが閉められた。わたしあるいは彼女は、少女と窓越しに手を振った。
電車同士がゆっくり離れていく。分かれ道でいよいよ電車が遠ざかっていくときに、それまで寡黙でむすりとしていてちょっと怖い印象だった相手国の車掌さんが、汽笛を鳴らして「J国に幸福と栄光あれ!」と、向こうの国の言葉で叫んでくれた。
すぐにその言葉は大合唱になってわたしたちを包み込んだし、わたしたちも声を張り上げて叫んだ。みなさんお元気で、G国に幸運を、幸福を!
遠ざかっていく電車をみながら、わたしあるいは彼女はぼんやりと戦争っていいことがないな、G国がどんなところかはわからないけれど、あそこに居合わせた人たちはみんないい人だったと思った。
そうして、どうかみんな無事でありますようにと思った。そんなわたしあるいは彼女を機関士のおじさんが優しくかなしそうに撫でてくれた。
戦争って嫌なもんだな。と煙草を吸いながらそのおじさんは言った。


そんな夢を見た。